【 2006年 9月 】記事月別一覧|まちづくりブログ|現代社会学部・経済政策学科|学部・学科

経済政策学科の特色ある情報を学科から発信します。
お問い合わせ 【教育企画課: 教務担当】
〒854-0082
長崎県諫早市西栄田町1212番地1
TEL(0957)-26-1234
FAX(0957)-26-2063

【 2006年 9月 】記事月別一覧

NGOの活動を調査研究 in タイ(Part 2)

2006年9月09日 (土曜日) 14:47 | 投稿者:【community

 タイへの調査に同行した宮城さんのレポートの続き(後半)です。(前半はこちら!
 調査対象のNGO:ラックスタイ財団のスタッフへのインタビュー内容の続きと宮城さんが調査に同行して感じたことをまとめています。


ラックスタイスタッフへのQ&A
 Q.性や生殖についての活動はどこでどのように行っているのですか。
  A.―小学校〜大学に出向いていって性や生殖に関する授業を行っています。学校ばかりでなく、地域にある公共の場を利用して、親子や多くの地域住民が学ぶことができるよう取り組んでいます。小学校低学年の子どもたちに対する活動としては、グループをつくってもらい模造紙に男の子と女の子の絵を描いて、身体や容姿、一日の生活の過ごし方を発表してもらい、男女の違いについて理解していく作業を行います。中学校に入る前の年齢、12歳以上からは具体的な男女の性の関わりについてどのくらい理解しているのか問題提起していきます。例えば、避妊の方法薬を飲めばHIV感染を予防することはできるのか、薬を飲むことによる身体への影響、SEXをするとどのようなことが起こりうるのかといったことを明確にして一緒に考えて知識を身につけていけるようにします。そして、性器具の教材を使ったコンドームの正しい装着方法のデモストレーションを行い、実際の予防法として身につけてもらいます。

◆Q.性について学ぶ以前と現在では、性に対するイメージはどう変わりましたか。
  A.―以前は、性=性行為とばかり考えていました。私が大学生だった頃、周りの人たちの中には、容易にSEXをしてしまって子どもができて、学校を辞めなくてはいけないという人も多くいました。タイで中絶することは違法であるし、中絶するという手術法があるということが知られていないので、中絶するケースはあまりありません。子どもができた人は結婚する人もいるし、別れる人もいるし、中には誰の子どもかもわからない人もいます。知識が乏しいために、ひとつの行為が人生をガラリと変えてしまいます。このように、性というものは、私たちが生まれてから死ぬまでの一生関わっていくことなのです。今、こうしてお話していることもそのうちのひとつですよね。

 Q.将来自分の子どもに対して、性についてどのように関わっていきたいと思いますか。
  A.―性に関する本を一緒に見たり、読んだりして一緒に学んでいきたいですね。子どもがどの成長段階にいるかを子どもに直接示していきたいと思います。(笑いながら)恥ずかしいことがあったら紙に書いて、お母さんがあとで答えてあげることをしていきたいです。私が幼い頃は、性に関することはタブー視されていたので、子どもの年齢に合わせたことをしっかりと教えていきたいです。体が成長してSEXに興味を示す時期になれば、SEXをすることでどのようなリスクが起きるのかということを教えて、彼・彼女自身が判断して行動できるようになってもらいたいと思います。
 
 

 皆さんは以上のQ&A を読んでどう思われましたか。
私の中に彼・彼女らのインタビューから新しく芽生えた思いというのは、彼・彼女らのようにとにかく何か行動を起こしていきたいという思いです。
 ユースグループの青年のお話からは、彼らが自分たちの取り組んでいる活動について、生き生きと話す姿に衝撃を受けるばかりでした。また一方で、「これまで社会にある問題に目を向けて主体的に行動したことがない、自分のことばかり考え行動してしまう自分がいること」に気付いたとき、心の中で躊躇していた気持ちが駆り立てられるのを感じました。
 ラックスタイスタッフのお話からは、日本での性教育のあり方を比較してしまわざるを得ませんでした。タイにおいても安易なSEXで子どもをつくってしまうような、日本と共通する問題があることを知りましたが、タイではその問題解決に向けて様々な活動が繰り広げられています。また不思議なことに、将来、自分の子どもの性に関わる話題についての彼女らの話を聴いているときには、まるで自分が彼女らの子どもになったような安心感に包まれました。そして彼女らが、「性は人間の一生に関わっていくこと」と言った言葉が頭から離れません。
私には一体、これから何ができるのだろうという思いが頭の中をよぎりました。これまで、何かに迷いながらもやってきた活動を思い出してみると、昨年の世界エイズデーキャンペーンでエイズ・性感染症に関するパンフレット配布活動を街頭で行なったとき、無関心に通り過ぎていく人々を複雑な気持ちで見送った光景が蘇ってきました。
 昨年のその活動で感じた、「日本のエイズ・性に対する現状を変えていきたい」という気持ちと、彼・彼女らへのインタビューがひとつにつながったような気がしました。まだ明確なことはいえませんが、私は今回のタイの調査から帰ってきて、確実に私の中に新たな気持ちが芽生えたと確信しました。
 今回、またひとつ重ねることからできたタイでの経験から皆さんにお伝えしたい事は、次のようなことです。
「今、社会に向けて何か行動したいと考えていても躊躇している人がたくさんいると思います。私もそうでした。行動を起こすことは考えている以上に勇気のいることですし、なかなかきっかけとなることも身近な場所にないように思います。本当の自分を見つけるということはとても難しい事ですが、たくさんの人と関わって、たくさんの話を聴く事で何か変化していく自分に気付くと思います。私の未熟な経験ではありますが、私と私につながるタイの人々の話を聴いて、皆さんの気持ちに何らかの形で変化が起こってほしいと思います。」
 私はこれからも自分にできる活動を続けていこうと思っています。私が問題意識を持ち取り組み始めることができた、日本のエイズ・性の社会の在り方に少しでも変化を起こしていけるように、そして私の活動を知ってくださった皆さんの何かの原動力になれるように、今後もブログを通して報告していきたいと思います。
null

(報告:地域づくり学科 菅原)

NGOの活動を調査研究 in タイ(Part 1)

2006年9月09日 (土曜日) 14:43 | 投稿者:【community

 6月30日から7月7日まで、本学の地域総合研究所採択研究「地域の発展と人材育成のあり方に関する研究」の調査のため、タイに行ってきました。この研究は、タイの北部パヤオ県を対象に、タイで農村開発、エイズ予防・共生などの問題に取り組んでいるNGO:ラックスタイ財団の活動がどのように取り組まれ、その過程でどのように地方行政に関わる職員や地域住民のエンパワーメントを引き出し、自立的なコミュニティの形成が図られているかを明らかにするものです。
 参加者は、タイに10年以上関わっておりタイにおけるコミュニティサービスも担当している入江先生(地域づくり学科)、タイは今回初めてという開先生(社会福祉学科)、タイへの訪問は4回目となる菅原(地域づくり学科)の教員3名と、これまでタイでのコミュニティサービスに参加し、今回の調査にも同行を希望してくれた入江ゼミの3年生(安谷屋さん、長田さん、宮城さん)の合計6名です。
今回の調査に参加した学生の宮城さんのレポートを2回にわたり紹介します。
(地域づくり学科 菅原)

<宮城さんのレポート>
 皆さんこんにちは。私は福祉コミュニティ学科3年の宮城かなえです。今回のブログも前回に引き続きタイの村から学んだことについて皆さんに報告したいと思います。
 実は、去る6/30〜7/7の日程で前回報告したタイの村へ再び訪問することができました。今回訪問することができたのは、長年その村とその村を支えてきたNGO(ラックスタイ)と関わりを持っている本学の入江先生の調査に同行することができたからです。
 入江先生からこのお話を頂いた時、私の心の中はただ「行きたい」という気持ちだけに駆り立てられて、行くことのはっきりとした目的が全くありませんでした。この思いのまま行動していいのだろうか。しかし、行かないままであっても後悔してしまうかもしれない。そんな思いが私の中でぶつかり合っていました。
 私はその自分の中にある迷いを、私の良きアドバイザーである地域づくり学科の藤崎先生に聴いていただきました。藤崎先生が私に下さった言葉は、「行ってらっしゃい!向こう(タイの村)で新しいことを見つけてきたらいいのでは?」私はその言葉を頂いた後すぐに入江先生の研究室へ行き、同行させてほしいとお伝えしました。 
 今回はインタビュー中心の調査でしたので、HIV感染者・学校の先生・感染者ボランティアグループ・看護師・村長・子どもたち・ラックスタイスタッフなどたくさんのお話を伺えました。そしてタイの村から帰ってきた現在、藤崎先生がくれた言葉が、私の中で現実のものとして新しく芽生え始めた思いがあります。
前置きが長くなりましたが、今回のタイの村訪問で学んだ多くのことからピックアップして皆さんに報告したいことは、「タイの若者・性と性教育」についてです。
 特に、私の中に新しく芽生え始めた思いのきっかけとなったのは、ラックスタイのユースグループでボランティア活動をしている2人の青年と、学校などで性や生殖に関する教育活動を行っているラックスタイの2人の女性スタッフに対するインタビューでした。その内容の一部をご紹介します。

ユースグループの青年へのQ&A
Q.どうしてエイズ、性について興味を持ったのですか。
A. ―とにかく何かをやることに興味を持っていました。それに、エイズや性については学校の中での問題でもあったから、自分たちが学ぶことで友人を助けることができるんじゃないかと思ったからです。その頃の学校の友人12人と共に活動を始めました。エイズ・性・生殖・そのことに関する若者に向けたマガジンの作成・リーダーシップをどうとっていくか・ファシリテートの方法・後輩たちにどう伝えていくかということなどについて、ラックスタイのスタッフから支援をうけながら自分たちで考えて活動してきました。もう一つの動機付けとしては、大人たちが「エイズの問題は若い人たちが起こしている」とよく口にするから、僕らが動き出して何か変化を起こしていきたいと思ったからです。

◆Q.日本の若者について。
A.—日本の若い人たちは僕らタイの若者にとって、かっこよくて、かわいくてファッションリーダーのような存在です。でもその反面、もっと社会に目を向けてほしいと思います。例えば、子どもたちが抱えている悩みや問題について考えて、子どもたちと接して何か活動していってほしいです。
null

後半に続く

(報告:地域づくり学科 菅原)


研究成果発表