NEWS

多文化コミュニケーション学科

【ゼミ活動】地域を学び、言語でつなぐ:バス停韓国語表記改善プロジェクト

  • 2026.02.25
  • 多文化コミュニケーション学科

   多文化コミュニケーション学科呉ゼミ(3年)では、2025年度後期の活動の一環として、長崎県内のバス停における韓国語表記の改善をテーマとしたプロジェクトを実施しました。本活動は、外国人利用者の視点から地域交通環境を分析し、より分かりやすい多言語案内表記の提案を行うことを目的として取り組まれました。

   現在、長崎県内の路線バス車内には、次の停留所を案内する電光表示が設置されており、日本語に加えて英語および韓国語による表示も提供されています。しかし、現行の韓国語表記では、日本語の発音をそのまま表記した翻訳形式が全体的に用いられており、外国人利用者が意味を直感的に理解しにくい状況が確認されました。例えば「메이호추갓코이리구치(明峰中学校入口)」のような表記では、固有名詞である「메이호(明峰)」は音写が妥当である一方、「중학교(中学校)」や「입구(入口)」といった普通名詞については意味訳を用いる方が利用者の理解を助ける可能性があるのではないか、という問題意識から本プロジェクトは始まりました。

   学生たちは実地調査として、諫早駅から長崎空港を結ぶ10番バス路線に乗車し、全38か所の停留所表示を調査・分析しました。その後、ゼミの時間には調査結果を基に、普通名詞として訳した方がより自然で理解しやすいと考えられる停留所名を中心に、韓国語表記の修正作業を行いました。

   修正の過程では、「중학교(中学校)」、「고등학교(高校)」、「병원(病院)」、「공항(空港)」など、比較的明確に普通名詞として訳すことが望ましいと判断できる例がある一方で、「北門前」「本堂川橋」のような地名について、「북문 앞 / 키타몬마에(北門前)」、「혼도강 다리 / 혼도카와바시(本堂川橋)」のように意味訳するべきか、固有名詞として発音表記を維持するべきかといった議論が行われました。

   また、「재판소 앞(裁判所前)」、「시험장 앞(試験場前)」といった名称についても、直訳を採用するのか、それとも「법원 앞(法院前)」、「운전면허시험장 앞(運転免許試験場前)」のように実際の利用状況を踏まえた意訳を用いるのかについて検討が重ねられました。明確な正解が一つに定まらない中で、学生たちはバスを利用する韓国人観光客や居住者にとってどのような表現がより理解しやすいかという観点を重視しながら翻訳案を作成しました。

   本活動を通して学生たちは、翻訳が単なる言語の置き換えではなく、利用者の文化的背景や実際の使用場面を考慮する必要があることを実感するとともに、韓国語能力の向上だけでなく、地域社会や多文化への理解を深める貴重な経験となったと述べています。また、地域の交通インフラを題材に課題を発見し、改善案を検討する過程を通して、実践的思考力や協働的問題解決力を養う機会にもなりました。

   多文化コミュニケーション学科では、今後も地域社会と連携した実践的な学びを通して、言語と文化の力で地域と世界をつなぐ人材の育成を継続していきます。