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経済政策学科

「飛ばして学ぶ」基礎演習Ⅰ――トイドローンでプログラミングに挑戦

  • 2025.12.22
  • 経済政策学科

 川口ゼミの「基礎演習Ⅰ」(1年生対象)では、外部講師として神崎健輔先生をお招きし、トイドローンを活用したプログラミング体験の授業を2コマ連続で実施しました。今回のゼミでは、プログラミングや情報技術にほとんど触れることがなかった学生に、「実際に動かす体験」を通して論理的思考やデジタル技術への理解を深めることを目的としています。

1コマ目:Scratchでドローンを飛ばす

 1コマ目の授業では、ビジュアル型プログラミング環境であるScratchを用い、トイドローンを操作する実習を行いました。学生はまず、ドローンとタブレット、PCを接続し、離陸や着陸といった基本操作を確認したうえで、前進・後退といった単純な動きを組み合わせながら、ドローンを思い通りの軌道で飛ばすことに挑戦しました。

 課題として設定されたのは、「前後に動かす」「四角形の軌道で飛ばす」「三角形の軌道で飛ばす」といった動作です。Scratch上では直感的に命令を組み立てることができますが、実際にドローンを狙った軌道で飛ばすためには、移動距離だけでなく、向きを変える際の角度設定を適切に調整する必要がありました。特に、四角形や三角形の軌道では、角度のわずかな違いが飛行結果に影響するため、学生は試行錯誤を重ねながら設定を修正していきました。

 画面上のブロック操作と実際のドローンの動きが必ずしも一致しない場面もありましたが、その違いを確認しながら調整を行う過程を通して、命令の順序や数値の意味を具体的に理解することができました。自分が考えた設定どおりにドローンが軌道を描いた瞬間には、教室内に達成感が広がり、プログラミングを「考えて試すもの」として捉えるきっかけとなる授業となりました。

  

2コマ目:Pythonでのプログラミングに挑戦

 2コマ目の授業では、1コマ目でScratchを使って行った内容を、テキストベースのプログラミング言語であるPythonに置き換えて実践しました。Scratchでは見えなかった「命令がどのようなコードとして書かれているのか」を、Pythonのプログラムを通して確認しながら、ドローンの操作を行いました。

 学生は、Pythonファイルの作成方法やターミナルの使い方、命令文の書き方を学びつつ、離陸や着陸、前進といった基本動作をコードで記述しました。特に、Pythonではインデント(字下げ)がプログラムの構造を決める重要な要素であることが説明され、Scratchとの違いを意識しながら作業を進めました。Scratchで行った操作が、Pythonではどのよう な命令として表現されるのかを比較することで、プログラミングの仕組みへの理解が一段と深まる時間となりました。

 今回の2コマ連続授業を通じて、学生はプログラミングを「難しい記号の並び」としてではなく、「意図した動きを実現するための手段」として捉えることができました。Scratchによる直感的な操作からPythonによるテキストプログラミングへと段階的に学ぶ構成は、大学1年生が情報技術に親しむうえで有効な導入となりました。 

 神崎健輔先生には、基礎的な内容から丁寧にご指導いただき、学生にとって大変貴重な学びの機会となりました。今後も「基礎演習Ⅰ」では、このような体験型の学修を通して、大学での学びの土台となる力を育んでいきます。