「CSL」(シーエスエル)というプログラムのひとつ「いじんをひらく」の「II」。吉野浩司先生、吉田耕平先生の担当授業です。
この授業では、大正・昭和時代に活躍した高名な経済学・社会学者、高田保馬さんについて調べています。
その遺品整理を通じて、地域の資源を掘り起こす取り組み。学生たちの手で、その成果を歴史資料館に返していきます。
吉野先生はこれ以前も、同資料館から委託を受けて資料を整理してきました。それは「第1期」の資料でした。しかし今回の段ボール5箱(!)には、新しい内容が入っています。これを「第2期」の資料と呼ぶことにします。前回も今回も、遺品のリストを作成して歴史資料館に提出します。
ちなみに「第1期」の資料は、佐賀県小城市にある高田保馬さんの生家(せいか)から発見された遺品でした。それが昨年の2022年、佐賀県にお住まいの遺族から歴史資料館に預けられました。これを1年ほどかけて本学のCSLで整理し、歴史資料館に返却していったという経過があります。
それに対して、今回の「第2期」資料は、別の経緯で遺族から預かることになったもの。もともとは高田保馬さんが亡くなった1972年、関西の自宅に残されていた旧蔵(きゅうぞう)資料なのです。それがその後、関西在住の遺族から歴史資料館に託され、現在に至っています。
いずれの資料も、それまでは遺族の皆さんの手で整理が進められました。その作業が、現在は郷里である小城市の歴史資料館に託されています。「いじんにならう」の資料整理には、このような皆さんの努力が引き継がれているのですね。
今日はこの「第2期」の段ボールを開封しました。学生たちがのぞいてみたところ、当時の手紙や手書きのメモがたくさん出てきました。これをひとつひとつ確認して、誰が書いたものか、どういう内容なのか、まとめていきます。それを一覧表に記せば、資料のリスト、すなわち目録 (もくろく) ができあがります。
これはじつに根気(こんき)を要する作業です。しかし、やりはじめてみるといろいろな発見があります。とくに面白いのは、昔の人たちの筆遣い、言葉の言い回しが伝わってくること。かつて佐賀から飛び立っていった人物が、100年のときをこえて目の前に現れるのも不思議な感覚。歴史と現在が行ったり来たりする経験は、遺品整理の醍醐味 (だいごみ) ですね。
今後も、この成果をブログやSNSで発表していきます。
(了)